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北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』(ほっかいどうれんささつじん オホーツクにきゆ)は、堀井雄二がシナリオを手がけたアドベンチャーゲーム。同じく堀井雄二がシナリオを手がけた『ポートピア連続殺人事件』『軽井沢誘拐案内』と本作を合わせて「堀井ミステリー三部作」とも呼ばれた。

ログインソフト(アスキー)から1984年PC-6001版とPC-8801版が、翌1985年にはPC-9801版とFM-7版・MSX版が発売された。なお1985年にはプロローグにあたる「東京編」のみの収録ながらキャプテンシステム版も公開されている。1987年には全面的にリメイクされたファミリーコンピュータ版が発売された。その後ファミリーコンピュータ版のシナリオを下敷きにグラフィックを刷新したPC-9801版がムック形式で発売された。後年プロジェクトEGGによる復刻や、携帯電話上のアプリケーション配信もされる。

概要 編集

北海道を舞台とし、摩周湖屈斜路湖を始め、網走刑務所北浜駅夕張炭鉱などの現実の観光スポット、網走刑務所で作成されているニポポ人形など実在の風物が登場する。

ファミコン版では一転、作画を『べーしっ君』の荒井清和が手がけ漫画的表現に変わった。後年のPC-9801用リメイク版では再び写実表現に回帰し、またさらに後のiアプリ版では漫画的表現に再回帰しているが、EZアプリ版では再び写実的表現になっている。

ファミコン版のBGMはゲヱセン上野こと上野利幸が担当。2005年にはサウンドトラックの復刻が実現している。なお、上野は初代パソコン版のメインプログラマーでもあった。

企画の流れ
元来はパソコン雑誌『ログイン』と堀井雄二の共同企画で、ログイン側はプロデュースおよびゲーム開発の追跡記事を、堀井雄二はシナリオを担当するという企画だった。この企画の担当編集者は後に『ファミ通』二代目編集長となる塩崎剛三(東府屋ファミ坊)。ログイン1983年12月号には堀井雄二自身による北海道の取材記事が掲載されている(実際の取材は1983年9月)。
当時、すでにストーリー構想は完成していたにもかかわらず、堀井の多忙と慣れない分担作業(本作は堀井がプログラムから離れシナリオ専門に注力した初のゲームだった)から開発期間は1年間である[1]
ログインとの共同企画には他に香港を舞台とする「九龍の牙」、ロシア(当時はソ連)を舞台にした「白夜に消えた目撃者」の、実質的な『オホーツクに消ゆ』の後継作品にあたる推理アドベンチャーゲームが2作予定されていたが、ともに取材旅行まで敢行したまま製作は頓挫している。
なお、後に堀井は本作の舞台を北海道にした理由について「当時のゲームとしては珍しくロケハンができることになったため、『会社の金でカニが食べられる』という理由で北海道を選んだ」と語っている[2]

ゲームシステム 編集

「コマンド選択方式」を採用している。従来のアドベンチャーゲームはプレイヤーが行動コマンドを考えてキーボードからコマンドを直接入力する必要があったが(「シンカイチ イケ」等と入力する)、プログラム側はあらかじめ登録されているコマンド以外は反応しないため、プログラムが反応する単語を試行錯誤することでゲームの進行が妨げられる場合が多かった。しかし、本作ではプログラムされている単語があらかじめ全て表示されているため、そのような問題は解消された。

ただし、この時代は「ゲームは長い間遊べないといけない」というのがゲーム界の常識であり、本作も全部のコマンドを順番に選ぶだけで終わってしまわないように、ダミーのアイテムを拾ったり、ある特定のコマンドを選択してしまうとハマり状態になってクリアできないトラップが、意図的に設置されている[3]。なおファミコン版以降の後期版(後述)ではこのハマリ状態は起きないようになっている。

キーボードが存在しない家庭用ゲーム機に適した方式でもあり、以降のアドベンチャーゲームでは同様のコマンド選択方式が主流となった。

後期版ではトランプのブラックジャックをするコマンドがあり、実際にシュンを相手に対戦することになる。勝つと物語進行の為のヒントをくれる。

なおこのコマンド選択方式については、当時堀井と共に『週刊少年ジャンプ』でライターを務めており堀井と個人的にも親交のあったさくまあきらが、「コマンド直接入力方式はわかりにくい」として堀井にその問題を解消するように強く主張したことが開発の動機になっているという[2]

テンプレート:ネタバレ

ストーリー 編集

東京湾、晴海埠頭で男の死体が発見される。主人公は部下の黒木と共に被害者の身元を調査し、事件に北海道が関係している事を知る。北海道に渡った主人公は、釧路署の刑事である猿渡俊介と共に捜査を始めるが、第二、第三の殺人事件が次々に起きてしまう。犯人の目的は一体何なのか。被害者の関連性を調べていくうちに、ある重大な過去が浮かび上がる。

中盤以降のストーリー展開には以下の2種類がある。それぞれのストーリーで登場する人物も異なっている。

  • 初期版(PC-6001、PC-8801、PC-9801、FM-7、MSX、キャプテンシステム)
  • 後期版(ファミリーコンピュータ、各種携帯アプリ、PC-9801(ムック版))

キャラクター 編集

新田哲二
主人公。通称「ボス」。プレイヤーが操作するキャラクター。尚ファミコン版には登場せず、任意で名前を決める
黒木五郎
新田の部下。東京でプレイヤーと共に捜査するパートナー。
猿渡俊介
通称「シュン」。釧路署の刑事で北海道で共に捜査するパートナー。端正なハンサムだが、少々ノリが軽いところもある青年。
野村真紀子
北海道生まれの北海道育ち。札幌市手稲区在住。後期版では、野村源次の娘でめぐみの幼馴染。スポーツ店に勤め、冬はスキーのインストラクターをしている。あどけない顔立ちをしている。家族思いで優しい性格。
中山めぐみ
大学生。野村真紀子の幼馴染。東京の大学に通っていたが、失恋した傷を癒しに気晴らしとして、仲の良い真紀子が住む北海道に観光旅行に来ている。後期版のみ登場。
野村源次(ゲンさん)
コロポックリの店員。初期版と後期版で設定が大きく異なる。
  • 初期版
増田文吉の双子の兄弟。増田の死後、彼が殺された理由を調査しているうちに阿久津の過去を知る事になり、増田と同じ様にこれをネタに恐喝を企んで逆に殺された。後述する後期版でのゲンさんの役どころは、コロポックリの店員という設定以外は野村鉄二が担当している。
  • 後期版
増田文吉に容姿が似ている。野村安吉の息子。野村真紀子とゆかりの父。
増田文吉
第一の被害者。東京晴海埠頭で死体として発見されストーリーは始まる。
飯島幸男
第二の被害者。北浜の浜辺にて死体として発見される。事件直前誰かにゆすられていたことが息子信二の口から語られる。
白木雄九朗
東京のスーパー社長。第三の被害者。網走港にて死体として発見される。
奥村紀助
終戦直後に沈んだ救援物資を運んだ船の持ち主。プレイヤー達が訪れた際には既に亡くなっている。
阿久津秀夫
元海軍将校。網走市出身の国会議員。近く大臣になることになっている。
高野
増田の死体の第一発見者。
明美
キャバレー「ルブラン」のホステス。子供っぽい。身を明かすまではボスをただの客として見ているためホステスらしく可愛く振舞っているが、警察手帳を見せた途端冷たい態度を取るほど警察嫌い。このゲーム最初の女性。
ルナ
キャバレー「ルブラン」のホステス。常に煙草を吸っている。濃いメイクをしている。
エミー
キャバレー「ルブラン」のホステス。アスキーのパソコンゲーム『Emmy』に登場する同名のキャラクターがモデル。初期版のみ登場。
山辺則之
北海道警察釧路署長。
増田たえ
増田文吉の妻。釧路市緑ケ岡在住。
飯島信二
飯島幸男の息子。メガネをかけていて真面目な印象を受ける。
坂口達男
白木雄九朗の秘書。社長が屈斜路湖摩周湖を旅行すると話していたと証言する。社長が亡くなったことに非常にショックを受けていて動揺する。
野村鉄二
初期版のみに登場する、野村真紀子の父。
中野和夫
井持の死体の、第一発見者。新婚旅行で北海道に来ていた。
中野裕美子
中野かずおの妻。新婚旅行はハワイに行きたかったらしい。
菊奴
かがや旅館の芸者。
井持邦雄
30歳。札幌市の会社員。第四の被害者。知床五湖で死体として発見される。
小野とく子
25歳。井持邦雄の妻。
野村ゆかり
大学生。野村真紀子の妹。東京の大学に通っていたが、ゲーム開始直前に交通事故で亡くなっている。
野村安吉
漁師。野村源次/(初期版では野村鉄二)の父。漁師で、浦田甚五郎とは仲が良い。
奥村の妻
作中の名前は「おばば」と表示される。シュンが訪れるとニポポ人形をくれる。高齢なこともあり、会話がかみ合わないことも多い。
浦田甚五郎
漁師。奥村の妻から渡される、涙が彫られたニポポ人形の作者。事件当時、網走刑務所で服役中。事件の真相を知る。
北竜会
作中で登場する暴力団。
電気屋の店員
夕張市に行った際に訪れる電気屋の店員。ファミコン版では荒井清和のべーしっ君のキャラ、目森二五六になっている。ファミコン版ではその他に目森べーしっや番長ヨシオが背景キャラで登場している。

外部リンク 編集

脚注 編集

  1. 「『オホーツクに消ゆ』はこうして作られた!」『ログイン』26号、アスキー、1985年、90-93頁
  2. 2.0 2.1 ゲームセンターCX』第106回「堀井雄二解体新書」
  3. ハマリ状態になったかどうかはゲーム中のメッセージでは判断できず、それ以前のセーブデータが無い場合は最初からやり直さないといけない。

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